中国スマホ市場での部材ビジネスの開拓

2000年代後半、スマートフォンが世界に広がり、中国では、輸出向けだけでなく巨大な国内市場向けにスマホを増産する外資系、中国系企業の参入が相次いだ。

電子材料営業本部は、2007年頃から中国のスマホメーカーに先端部材を供給するビジネスを本格化した。特に、中国系企業の躍進は著しく、営業担当者は中国現地法人と連携して営業活動を強めた。しかし、汎用部材では価格面の要求が厳しく、商習慣の違いもあってなかなか成果に結びつかなかった。

そんなある日、ある中国スマホメーカーから、新しいカメラ用電子部品の提案依頼があった。営業担当者が街を歩いていると、たしかにスマホで自撮りする若者が多いことに気づいた。彼らは自撮り画像をSNSにアップして楽しんでいるのだ。

「もっと自撮りしやすいスマホをつくれば大ヒット間違いない」。そう閃いた営業担当者は、日本の電子部品メーカーに働きかけて、カメラレンズの向きを内外に切り替えられる最新の電子部品を提案した。

早速、その電子部品を中国企業に提案すると大きな関心を示した。その後、価格や仕様などで難しい交渉が続いたものの、日本の電子部品メーカーとの連携で受注につなげることができた。同様に、日本企業が優位性を持つさまざまなスマホ用最先端部材を納入し、さらに実績を広げ、大きなビジネスに成長することができた。

2015年には、世界のスマホ需要14億4,730万台(米国・IDC社調べ)に対して、中国のスマホ市場はその約3割を占めるまでに成長している。当社が先端部材を納入してきた中国企業も世界有数のスマホメーカーに成長している。

中国の営業拠点の様子