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構造細胞生物学のための電子顕微鏡技術

12. デジタル写真処理(1)

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(1) 画像のデジタル化

CCDやCMOSなどの撮像素子の進歩によりデジタルカメラが普及し、写真はピクセルからなるデジタル画像として記録される。デジタル画像はそのままコンピューター上で加工やファイリングができ、大変便利である。
当然のことながら、このような長所は電子顕微鏡による観察にこそ生かされるべきで、電子顕微鏡用デジタルカメラも急速に普及している。しかし、大きな撮像素子を必要とする電子顕微鏡用デジタルカメラは作るのに手間がかかるし、コンシューマ向けと違い販売台が数少ないので、4メガピクセルぐらいのカメラでも大変高価である。まだ、完全にフィルムに取って代わるというわけにはいかない。
実際、最も普及している電子顕微鏡用の1,000×1,000の1メガピクセルカメラでは、撮影後の引き伸しは1.5倍が限度であるので、倍率を変えて何枚も撮影しなければならない。
また、コントラストは高いが、中間グレー領域の再現性はまだ不十分である。
これに比べフィルムでは10倍ぐらいまで容易に引き伸ばしがきくし、グレー階調も正確に記録されており、再現性が良い。
このようにフィルムには、まだ捨てがたい多くの長所が残っている。
しかし、トモグラフィー用にフィルムで百数十枚も撮影するというのは現実的ではない。
そこで、トモグラフィーによる立体再構築は、電子顕微鏡に組み込まれたデジタルカメラに任せるとして、我々は通常の撮影にはフィルムを使用している。
フィルムに撮影された画像を、いかにデジタル化するかというのがこの章の最初の課題である。もっとも一般的なのは、スキャナーでネガフィルムの画像をデジタル化し、コンピューターに取り込むという方法である。 もちろん、これで問題はないが、ここでは別の便利な方法を紹介したい。それはデジタル一眼レフカメラでネガフィルムを複写するという方法である。1枚のネガをスキャナーで取り込むには、どんなに速くとも5分はかかり、50枚ともなると3時間近く費やすことになる。ところがデジタル一眼レフカメラで複写すると1枚あたり20秒程度ですみ、50枚でも30分程度で終わる。
最近はデジタル一眼レフカメラは10メガピクセル以上の画素が標準となっており、スキャナーとほぼ同等の高画質を得ることができる。しかも、カメラ付属のファイリングソフトを使用できるので、写真の整理も楽である。

プロトコール:

ネガ複写装置は複写台、ブライトボックス、デジタル一眼レフカメラから構成される。
ブライトボックスと同じ大きさの黒い紙を用意し、その中心に電子顕微鏡写真フィルムの大きさに一致した窓を開ける。これをブライトボックスの上に被せる。ここに撮影した電子顕微鏡のフィルムを載せ、カメラで複写する(図1)。
最近の一眼レフデジタルカメラは、オートフォーカス機構が備わっているので、オートでの撮影も可能であるが、ネガに写し込まれた構造によっては、オートがうまく機能しないことがあるので、その時はマニュアルで撮影する。
ネガフィルム像はRGBカラーで撮影されるので、コンピューターに取り込んだ後、Photoshopなどの画像処理ソフトを起動し、グレースケールに変換する。 さらに、Photoshopの場合、イメージの項目をプルダウンし、色調補正(この場合グレースケールになるが)メニューから「レベル補正」を選び、調整しておくといつでも使用できるデジタル画像となる。
切片の写真ではグレースケールに変換後、レベル補正の前に同じ色調補正メニューから「階調の反転」を選び、ポジイメージに変換する。フリーズエッチングレプリカ像の時はネガイメージの方が見やすいため、変換はせずにネガのまま処理する。

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