2025年11月8日(土)、日立ハイテク本社会議室にて、第1回メディカルLVSEM研究会が対面およびオンラインのハイブリッド形式で開催されました。本研究会は2017年に発足した腎生検LVSEM研究会を前身とし、研究対象を腎臓のみならず広く領域を拡げるため2025年に改称されたもので、延べ9回目の定期研究会の開催となります。改称最初の本年は昭和医科大学臨床病理診断学 本田一穂先生を大会長に「病理診断のイノベーション」をテーマに60名を超える病理医、臨床医、検査技師及び研究者が参加し、シンポジウム「病理診断は何を見て何を知りたいのか」、教育講演、特別講演及び一般講演のセッションが企画されました。
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教育講演では、神戸市立医療センター中央市民病院病理診断科 原重雄先生より「腎⽣検病理診断にみる⽣命科学の形態世界」と題し、日ごろの臨床病理診断の現場からみた透過電子顕微鏡を用いた評価の役割とその課題が示された。続くシンポジウムでは、「病理診断は何を見て何を知りたいのか」をテーマに、東京女子医科大学病理診断科 吉澤佐恵子先生より「心筋生検から読み解く心疾患」として、心筋生検の光顕から電顕までを活用した病理診断の果たしている役割を、昭和医科大学臨床病理診断学講座 小原淳先生より「潰瘍性大腸炎における臨床と病理のマリアージュ」として主に内視鏡で診断されている本疾患における再燃リスクに対する病理診断でのAIも活用した検出アプローチに関する研究が紹介されました。
さらに、金沢大学付属病院腎臓・リウマチ膠原病内科 原怜史先生より、最大60種類のタンパク質を同一切片上でとらえる空間オミックス解析による腎炎病変解析の新たな取り組みを、最後に国立研究開発法人産業技術総合研究所細胞分子工学研究部 岡谷千晶先生から「病理像を分子で読み解く:心筋線維化モデルにおける空間グライコプロテオミクス」として糖鎖に関するイメージングの取り組みとその局在をさらにLVSEM像と相関して微細構造レベルで評価する取り組みが紹介されました。
また、特別講演では、メドメイン株式会社常木雅之先生より「病理画像診断におけるAI 技術⾰新の最前線」と題し、Whole-Slide Imageの普及に伴って発展してきている病理組織所見に関するAI技術の最先端が癌診断に対する検討事例と合わせて紹介されました。
また、研究報告一般演題では、LVSEMを用いた研究成果として、東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科 神崎剛先生より「IgA腎症におけるeGFRcys/eGFRcr比を濾過障害の関連―低真空走査電子顕微鏡(LVSEM)による形態学的検討」と題し、IgA腎症における基底膜細孔の形態変化に関するLVSEM観察結果が、新潟医療福祉大学医療技術学部臨床技術学科 横山貴先生より「LVSEMを用いた尿中赤血球形態の観察」と題し、尿沈渣に見られる赤血球形態のLVSEMにおける観察結果が、さらには医療法人鉄蕉会 亀田総合病院呼吸器内科および鳥取大学医学部付属病院呼吸器内科・膠原病内科 舟木佳弘先生より「LVSEMにより新しい間質性肺炎診断技術の開発」と題し、肺における線維芽細胞と線維化の評価に関する光顕・電顕及びLVSEMによる評価結果が、そして日立製作所研究開発グループヘルスケアイノベーションセンタバイオ計測システム研究部 久田明子先生より「低真空⾛査電⼦顕微鏡を⽤いた単細胞イメージングによる抗菌作⽤の検出」と題し、LVSEMによる細菌の薬剤感受性判定に関する試みが、各々報告され、LVSEMによる新たな形態評価の可能性が示されました。
今回、メディカルLVSEM研究会と改称された第一回目の研究会では、従来から行われている光学顕微鏡および透過電子顕微鏡を用いた腎生検や本会で主に議論されてきたLVSEMを用いた腎生検評価の新しい評価に加え、LVSEMを用いた尿中細胞や肺への新たな評価への取り組みが議論されるとともに、形態評価に空間オミックス解析やAI解析を加えることで病理診断の新たな可能性が開かれることが、形態からより情報を的確に読みとるための新たな手法に関する議論が交わされました。
日立ハイテクとしては、研究会が選定する研究助成を支援するとともに、LVSEMの観察技術に関するサポートも行っています。
また当日は、自動観察技術の紹介など、生物試料観察における今後の展望も紹介されました。
(取材・記事 : SINEWS編集事務局)
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