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HPLC Chromaster(クロムマスター)
-バイオ医薬品分析への応用~ペプチドマップ法~-

バイオ医薬品とは、組み換えDNA技術および細胞培養技術を応用して製造するタンパク質性医薬品のことで、原材料が生物起源の高分子であることが特長です。その試験法や評価方法については、指針やガイドラインがいくつか出されています。
今回は、バイオ医薬品の確認試験法の一方法である「ペプチドマップ法」について紹介いたします。ペプチドマップ法は、タンパク質の特性解析、同一性や安定性の評価、変異の検出を目的とした方法です。多くのペプチドピークが出現するLCのクロマトグラムの溶出パターンを比較するため、ピークの保持時間や面積値の再現性が良好であることが非常に重要な要素となります。
ここではモデルサンプルとしてBSAと、バイオ医薬品の代表格である抗体医薬品(IgG)を用いて、その消化物をLCで測定し、再現性を評価しました。

ペプチドマップ法概要

タンパク質を化学的もしくは酵素的に消化して、生じたペプチド断片をLCなどで分離検出、そのクロマトパターンを比較することで、構成しているアミノ酸の変化を確認する試験法です。

-

* ペプチドマップ法は、三薬局方(USP、EP、JP)での調和合意に基づき規定された試験法で、第十六改正日本薬局方(JP)の参考情報に収載されています。

BSA(ウシ血清アルブミン)消化物の測定例

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測定条件:

カラム HITACHI LaChrom C18(5 µm)
4.6 mm I.D. × 250 mm
溶離液 A)0.1% TFA/H2O(v/v)
B)0.1% TFA/CH3CN(v/v)
* Gradient
流量 1.0 mL/min
カラム温度 40°C
検出波長 UV 215 nm
注入量 10 µL
*
ダイナミックミキサ使用

試料調製:

ピーク保持時間および面積値再現性(n=6)

保持時間:

ピークNo. 1 2 3 4 5
Average 13.579 23.998 30.508 34.488 44.911
SD 0.009 0.012 0.012 0.018 0.012
%RSD 0.06 0.05 0.04 0.05 0.03

面積値:

ピークNo. 1 2 3 4 5
Average 313951 477180 729175 922057 814068
SD 6957 11499 17599 22397 21035
%RSD 2.22 2.41 2.41 2.43 2.58
6回繰り返し測定時、ピーク保持時間再現性(%RSD)は0.06%以下、ピーク面積値再現性(%RSD)は2.6%以下と、非常に良好な再現性が得られました。
これにより、ペプチドマップ法で信頼性の高い クロマトパターン解析がおこえることがわかります。

抗体医薬品(IgG)の構造

バイオ医薬品の中でも抗体(免疫グロブリン)を利用した抗体医薬品は、多くが糖鎖構造を持つ糖タンパク質で、その高い特異性や有効性から特に注目されています。免疫グロブリンには数種類ありますが、抗体医薬として実用化されているのは主にIgGで、"Y"字型の4本鎖構造が特徴的です。H鎖、L鎖各2本がそれぞれがS-S結合(ジスルフィド結合)で結びつくことにより、Y字型のヘテロテトラマーを形成しています。また翻訳後修飾により、糖鎖が結合していますが、この糖鎖構造が活性に大きく影響するとされています。

ここではIgGを還元アルキル化後トリプシン消化し、そのペプチド断片をLCで測定しクロマトパターンにおける、ピークの保持時間と面積値再現性を評価しました。

-

IgG消化物の測定例

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測定条件:

カラム HITACHI LaChrom C18(5 µm)
4.6 mm I.D. × 250 mm
溶離液 A)0.1% TFA/H2O(v/v)
B)0.1% TFA/CH3CN(v/v)
* Gradient
流量 1.0 mL/min
カラム温度 40°C
検出波長 UV 215 nm
注入量 10 µL
*
ダイナミックミキサ使用

試料調製:

ピーク保持時間および面積値再現性(n=6)

保持時間:

ピークNo. 1 2 3 4 5 6
Average 10.960 11.934 22.716 26.630 34.979 43.647
SD 0.012 0.011 0.013 0.010 0.013 0.010
%RSD 0.11 0.09 0.06 0.04 0.04 0.02

面積値:

ピークNo. 1 2 3 4 5 6
Average 131165 80680 227672 135253 418818 200076
SD 2547 2585 6966 4474 16010 8164
%RSD 1.94 3.20 3.06 3.31 3.82 4.08

6回繰り返し測定時、ピーク保持時間再現性(%RSD)は0.1%以下、ピーク面積値再現性(%RSD)は4.1%以下と、非常に良好な再現性が得られました。IgG消化物のような、より複雑なペプチドの測定でも信頼性の高いクロマトパターン解析がおこなえることがわかります。

注意:本掲載データは測定例を示すもので、数値を保証するものではありません。
本製品は研究用です。診断用ではありません。

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